小話3
*
「研磨」
「今日は何」
「彼女が好きだと言ってくれたから、今日は練習記念日です…」
「意味わかんない。ベッド使わないで」
「はー、ちゃん可愛かった」
「どいて」
「今朝の応援のおかげで一日頑張れたわ、もう起き上がれない」
「もうちょっと頑張りなよ」
「やっぱり恋っていいもんだな」
「……」
「ちゃんに練習また観に来てもらいたいけど、先輩がなあ」
「何かあったの」
「ちゃんに声かけてた」
「…体育館にいれば声くらいかけるんじゃないの」
「ちゃん可愛いからな。俺が目を離したすきに狙われたから、コントロール磨かねーと」
何したの、とは研磨は聞かなかった。
急にくぐった叫び声が聞こえた。
「近所迷惑…」
「ちゃんに来てほしい、けど、集中できなくなる。だけど、来てほしい!熱情(パッション)を抑えきれない」
「……」
「そいや、研磨、こないだの模試、結果は?」
「なんで、急にその話…」
「うちのバレー部に入ってもらわなきゃなんねーからな。受験で言う夏は、勝負の夏だ。油断すんなよ」
「…言われなくてもわかってる。そっちこそ、勝負すれば?」
「俺は受験終わりましたー」
「そっちじゃなくて、初恋のほう」
「!…そんな、ばか、急に思い出させんなよ」
あーあ、また枕が。
そう思いつつ、面倒なので口は開かず、研磨は勉強机に向かった。
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