ハニーチ

スロウ・エール 1






一人でも立ち向かう彼の姿に目を奪われていた。


*


初めて来た体育館は予想以上の広さで、どこから入ればいいのかもわからない。
辺りを見回すと、大会の初日のせいかいろんな学校が来ていた。
人をすり抜けぶつからないようにしつつ、周囲を確認して進んだ。

向こうから見慣れた顔が見えて、少し肩の力が抜けた。


ー、あっちから入れるみたい」

「あ、ありがとう」

「で? 日向達はどこよ」

「声おっきいってば」

「んんっ」


大慌てで友人の口を塞いで辺りを確認する。
よかった、日向君達はいない。って、よくない。今日は日向君たちを応援しに来たんだった。


「も、でかい声出さないって。だから口塞がないでよ」

「ごめん、なっちゃん。折角付き合ってもらってるのに」

「わかってるならいいけどさ。コージー達も携帯電源入ってないみたいだし、あ、あっちでコートの場所出てるかも」

「あ、待って」


慌てて友達の後ろにくっついてある。

今日は、記念すべき日だ。
あの日向君がバレーの公式戦に出られる日、そして私、が、中学3年最初で最後の試合に出る日向翔陽を応援に来た小さな記念日である。

バレーは中学になってからは体育でちょっとやったことあるくらいで、私は男子バレー部のマネージャーでも何でもない。
そんな私がここにいる理由、それは単純だった。

日向君を応援したかったから。


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